令和7年度予算要望および政策提言
光風会 基本政策
世界は「ポリクライシス*」の時代に突入したと言われる。予測困難な世界情勢の中で地方自治体は、足腰の強い、持続可能で自立した地域づくりを進めることが必要である。そのためには地域経済の自立、デジタル技術の応用、地域におけるつながりの強化など、多様な方策が必要とされており、地方自治体には長期的かつ時代に即したヴィジョンでもって、将来的に安定した社会を築いてゆく大きな責任がある。
いかに世界が変容しようとも、健全な社会の基盤となるのは人である。東海村では少子高齢化が進展するに伴い、住民ニーズや地域の課題は多様化・複雑化している。その中で何を優先すべきか、そしてどこまで対応するかなどを見極めることも重要である。光風会は住民のウェルビーイングの追求、特に生活弱者に寄りそうことを基本姿勢としている。この基本姿勢に基づき、住民主体の福祉の向上に向けて令和7年度の予算要望・政策提言を提出する。
*ポリクライシス:新型コロナ感染拡大による社会経済や健康、移動における混乱や、ウクライナ戦争による政治、経済、資源等をめぐるグローバルな危機などに見られるような、複数の危機が同時に発生し、相互に影響し合う状況を指す。
光風会が掲げる基本政策
1.子育て・教育・福祉の充実
2.安心・安全の基盤となる地域コミュニティの活性化
3.環境保護に配慮した持続可能なまちづくり
4.住民一人一人が尊重され、幸せである社会の構築
令和7年度の予算編成にあたり、村民の期待と負託に応えるため、基本政策に則り、以下の7項目について執行部による予算化と実行の促進を強く要望いたします。
1.子育て・教育・若者支援
2.住民の健康増進と福祉の向上
3.住民サービスの向上
4.地域コミュニティの充実と地域の安心・安全の強化
5.地域に根ざした経済の活性化
6.環境保護を中心に据えた再生可能エネルギー中心のまちづくり
7.原子力との未来志向の関係性を作る東海村に
1.子育て・教育・若者支援
1)保育士の確保と待遇改善に引き続き努めること。
2)民主主義の根幹となる主権者教育を推進すること。
3)ジェンダー平等教育、LGBTQ教育を実施すること。
4)学校給食無償化の早期実現およびオーガニック給食の導入を進めること。
5)ゆとりある教育ができる体制づくりと教員への支援体制をさらに充実させること
例)必要に応じたスタディサポーター・スクールカウンセラーの増員
6)中学校校内フリースクールにおいて、支援を必要とする生徒をいつでも受け入れ、十分な支援ができるよう支援員を増員すること。
7)小学校の不登校児支援の必要性もますます高まっているため、小学校内フリースクールの導入を検討すること。
8)教育支援センターたんぽぽの指導員を必要に応じて増員するとともに、施設を拡張する等、子どもたちが安心して過ごせる環境を整えること。
9)生理の貧困対策として、校内トイレに生理用品を設置すること。
10)中高生から20代までの若者の居場所や相談、活動の支援などを行うユースセンターを設置すること。
2.住民の健康増進と福祉の向上
2-1.健康増進
1)口腔ケア向上のため、歯科衛生士資格を持つ相談員を健康増進課に配置すること。
2)定期健診の受診率を上げる努力を継続すること。
2-2.福祉
1)2024年度介護報酬改定に伴う訪問介護の基本報酬の引き下げが本村の訪問介護事業所や地域包括ケアシステム、訪問介護サービスを受ける住民に与えている影響について調査を行い、村からの支援を検討するとともに介護報酬の見直しを国に求めること。
2)移動手段弱者へのサービスをさらに進めること。
例:コミュニティバスの導入、移動スーパーへの支援
3)様々な障がいに対する理解促進・啓発活動を実施すること。
4)スタートアップ事業をさらに推進し、企業へのガイダンスやマッチングを行い、障がいを持つ人が働くことができる職 場の増加に努めること。
5)身体・知的・精神障がい者(児)がデマンドタクシー「あいのりくん」を利用する際に必要な対応と注意点等を、デマンドタクシー事業者内で十分に共有できるように努めること。
3.住民サービスの向上
1)いかなる有権者も権利である投票ができるようオンデマンド投票所や、日時を決めて各地域を巡回する移動期日前投票所などの導入を進めること。
2)村のホームページをより見やすく改善するとともに、村からの支援や補助金が一目でわかりアクセスできるページを作ること。
3)コミュニティセンターに関しては各地区のコミュニティセンターにプロジェクター一式を整備し、かつ予約しやすいシステムを構築すること。
4)公共施設の利用に関して、住民から「わかりにくい」との声が上がる「営利目的」の定義に関して、何が「営利目的」に当たるのかわかりやすい基準や事例を村のホームページ等で明示すること。
4.地域コミュニティの充実と地域の安心・安全の強化
4-1.地域格差を緩和するマスタープランを
1)地域格差を解消するため、地域住民の意見を聞き、持続可能かつ地域特性を活かした都市計画マスタープランを作成すること。
2)都市機能の集中する市街地から離れた周縁部を置き去りにすることなく、利便性や地域の活気において、よりバランスのとれたまちづくりを進めること。
4-2.住民の意見が反映されるまちづくり・地域コミュニティの活性化
1)村政懇談会は、住民自治の意識を高め、住民が村や地域コミュニティの一員として主体的に参画する重要な機会である。各地区の住民が誰でも参加できる開かれた村政懇談会を復活させること。
2)物価高騰に対応し、単位自治会の集会所のリフォーム・建替えを対象とした補助の増額を行うこと。
3)地域ごとの防犯・防災意識の向上、非常時における行動や地域での助け合いの体制づくりを継続して喚起するとともに、地域での活動やイベント時に啓発活動を行うこと。
4)姉妹都市国際交流活動を広く村民に周知し誰もが参加できるようにすること。
5)村内に長期・短期滞在する外国人を対象とした交流の場(ミニ国際交流フェスティバルなど)や、外国人が地域と交流できる場づくりを進めること。
4-3.居場所づくり支援
1)地域で孤立している方や、生きづらさを感じている方への公共施設等を利用した居場所づくりを支援すること。
例:みんなの食堂開催への支援
2)空き家対策や居場所づくりの一環として「空家等を活用した地域交流拠点づくり支援補助金」を設置すること。
参考:ひたちなか市「空家等を活用した地域交流拠点づくり支援補助金」
3)居場所としての各地域の公園を整備し、子どもたちが安全に遊ぶことができるようにするとともに、高齢者向け健康遊具や、身体障害のあるなしに関わらず子どもたちが一緒になって遊ぶことができるインクルーシブ遊具の設置を進めること。
5.地域に根ざした経済の活性化
1)農業支援を中心に据えた地域経済活性化を図ること。
例:村主催のファーマーズマーケットの定期開催、農業法人設立支援、有機農業の新規就
農者への支援と有機農産物の販路の確保として学校給食等での使用
2)エネルギー構造高度化・転換理解促進事業補助金を活用し、村内企業による再生可能エネルギー・省エネルギーに関する技術開発の支援や、再生可能エネルギー設備などを活用した地域経済振興事業を進めること。
6.環境保護を中心に据えた再生可能エネルギー中心のまちづくり
1)ゼロ・ウェイスト宣言で有名な上勝町の取り組みを参考に、ごみの減量および資源ごみの分別回収をさらに推進すること。
参考:上勝町のゼロ・ウェイストセンター
2)公共施設における省エネ化と再生可能エネルギー利用を進めること。新しく設置する公共の建物等にはソーラーパネルの設置の検討を必須とすること。
3)非常時の電源確保のためにも太陽光発電システム、蓄電池設備設置費補助を住民の需要に鑑み拡充すること。
4)メガソーラーの設置許可においては条例に準拠し、自然や景観、周辺の生活環境の保護に配慮し適切な審査を行うこと。
5)ペットの適正飼育の指導や動物愛護啓発活動を実施すること。
6)村独自の動物保護活動支援事業(不妊手術助成金の拡充および団体補助金の創設)を導入すること。
参考:日立市「(市独自)地域猫活動支援事業補助金」
7.原子力との未来志向の関係性を作る東海村に
1)原子力とともに歩んだ村の歴史を矜持としつつも、村の財政および産業の原発依存を減らす方向性を模索し、原子力科学を活用した産業の育成をはじめとする新たな産業育成を視野に、村の産業構造の転換に向けた将来ヴィジョンの構築を進めること。
例:放射線医療センターの誘致
2)JAEA、J-PARC、茨城大学、東京大学等との産学官連携を深め、より進化した東海村サイエンスタウン構想を進めること。
3)原子力関連施設の安全管理に対しては迅速かつ真摯な情報開示を求めること。
4)国や事業者が老朽化した東海第二原発の再稼働を目指している現状において、複合災害も想定した実効可能な避難計画の策定に努めること。さらに避難計画の住民への徹底した周知および避難訓練の実施を行うこと。
5)東海第二原発の再稼働の是非については住民投票を実施すること。